環境科学部生物資源学科


△生物資源管理学実験の様子・圃場の写真

環境の世紀に応える知識を備えた人材の育成

21世紀は環境の世紀といわれます。従来型の生産と生活のスタイルを続ければ環境負荷の増大は避けられず、環境問題の深刻化を招くことは必至であります。従来型のスタイルとは大量生産、大量消費、大量廃棄による生産と生活の様式であり、エネルギー資源や鉱物資源の枯渇だけでなく二酸化炭素をはじめとする排ガス、排水、固形廃棄物の大量発生による環境悪化を招くものです。また、63億人を超える地球人口を支えるための食糧の確保にも環境への影響増大が懸念されます。すなわち、エネルギーをはじめとする資源と食糧をどう確保、調達するか、その過程で生じる環境影響をいかに軽減させるかが問われる時代です。
このような時代背景が生物資源に対する熱い期待を生んでいます。生物資源生産は従来、農業を主とする食糧生産と同義でありましたが、現代はバイオマスのようなエネルギーや有用素材の生産を含み、また生物生産の特徴である炭素固定は地球温暖化対策にも有効であります。さらに、石油系プラスチックに代わる分解可能なプラスチックも生物生産から生まれ、その普及が始まっています。食糧問題だけでなく地球環境問題、エネルギー問題、素材問題の解決に生物資源の活用が期待される時代がやってきたのです。
生物資源の生産を最適な条件で行ない、環境への影響を最少化するには、その生産の場である土と水をめぐる環境、生物資源そのものである植物(作物)、動物、微生物を熟知し、適切に生産・管理する技術とシステムが必要です。また、最先端の生物制御技術(バイオテクノロジー)も必要となります。生物資源管理学科はこのような21世紀の課題に応える知識と知恵を備えた人材の育成をめざす学科です。環境の世紀を主体的に生きようとする若者の挑戦を期待します。

生物資源管理学科長  川地 武

教育目標

自然はさまざまな生物に満ちあふれている。農業はこれらの生物を有効に利用する方法を探し求め、有害な要因を取り除くことに努めてきた。生物資源管理学科では、これまでの農業研究で蓄積された技術を環境保全のために応用すること、未利用の生物資源を開発すること、環境にやさしい技術を開発し普及に移すことを目標にしている。
それには、まず、地域(琵琶湖、滋賀県、近畿・中部地方)の問題点を取り上げ、開発した技術は全国、世界のためにも役立てたい。このため、学生諸君には、眼に見えるものから見えないものまで、食品から環境まで、身近なことからグローバルなことまで、問題点を摘出できる人間に育ってほしい。

研究紹介

生物資源管理学科は大きく6つの研究グループに分かれています。グループの多さからもわかるように、生物資源管理学を学び研究するためには生物、化学、物理、地学を網羅するような幅広い知識が必要です。そのため専門科目には学部共通基礎科目のほか、各研究グループに関連する多くの学科専門科目が開講されています。
4回生ではそれまでの集大成として卒業研究を行います。各研究グループのテーマを紹介します。

植物グループ

環境に負荷を与えず、資源の保全を考慮した生物生産をめざして、遺伝資源の開発から栽培技術までの広い分野を研究対象としている。

動物グループ

環境に配慮した家畜生産技術の実現のために、畜産廃棄物の有効利用、飼養技術や未利用資源の飼料化に関する研究を行う。
微生物・昆虫グループ
微生物分野では作物の農薬を用いない病害防除と微生物を利用した環境管理を、昆虫分野では環境と調和した総合的な有害生物管理システムの確立を目指す。

土壌・植物栄養グループ

土壌資源の保全と有効利用を目指すとともに、土壌を中心とした持続可能な農業体系の確立を化学の視点から研究する。

水資源環境グループ

水資源と水質に関する水環境に重点を置いて、地域環境を物質循環の視点から科学的に考察する。

生物資源経済グループ

農林業生産と資源・環境保全とを調和させるという視点で、農林業環境政策および農林業経営における資源・環境管理について研究する。

○生物資源管理学科で取得できる資格

  • 中学校教諭一種免許(理科)
  • 高等学校教諭一種免許(理科・農業)
  • 改良普及員受験資格
  • 学芸員