滋賀県立大学環境科学部
環境生態学科
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小泉 尚嗣(こいずみ なおじ)


役職 教授
研究室 B3-303
最終学歴 京都大学大学院理学研究科博士後期課程地球物理学専攻単位取得退学(1988年12月)
学位 博士(理学:1989年11月)
職歴

京都大学防災研究所:助手(1989年1月〜1996年10月)
工業技術院地質調査所:主任研究官(1996年10月〜2001年3月)
独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター:グループ長、主幹研究員、総括研究主幹(2001年4月〜2015年9月)
滋賀県立大学:教授(2015年10月〜)

専門分野 地震地下水学
所属学会

日本地震学会、日本火山学会、日本応用地質学会、日本地球惑星科学連合、日本陸水学会、日本自然災害学会、American Geophysical Union

研究紹介

 私の研究室では、地震・地殻変動(地盤の変形)と地下水との関係についての研究を行っています。滋賀県立大学に2015年10月に着任する前は、東海〜近畿〜四国の地下水と周辺の地震・火山活動や地殻変動との関係を私は研究してきました。今後は、琵琶湖周辺の地下水と地殻変動・地震・活断層との相互関係について主に研究を行っていこうと思っています。滋賀県立大学に着任して間もないので、学生諸君と一緒になって、研究を深めて行けたらよいと思っています。

1)琵琶湖周辺の地下水システムの変動状況の把握とメカニズム解明(2015年以降)
 地下水は、琵琶湖への水の年間流入量の1-2割を占めるとされていて、そのシステムを研究することは、琵琶湖の環境保全のために重要です。琵琶湖では、潜水ロボットの調査により、2010年末頃から、湖底の湧水量が増えているという報告があり、琵琶湖周辺の地下水システムに何らかの変動が生じていると考えられます。地下水は、一般に、降水量や、その場所の開発状況および地下水利用状況に大きく影響されますが、断層も含めた地質構造や地殻変動の影響も受けます。琵琶湖は、「新潟-神戸歪集中帯」という日本の中でも特に変形率が高い場所(年率で10-7程度縮み続ける場所)に位置し、琵琶湖西部には、琵琶湖西岸断層帯や三方・花折断層帯という大きな活断層帯もあります、このような特殊な場所にある地下水システムがどのように変動するのかを調べることは、琵琶湖の環境保全に加えて学術的にも価値のあることです。
 琵琶湖の水位データ、琵琶湖周辺の降水量データ・地下水データ・地殻変動データ、琵琶湖周辺の開発状況や地下水利用状況の変化等を総合的に検討して、琵琶湖周辺の地下水システムの変動状況を把握し、そのメカニズムを明らかにすることを目指します。

2)地下水変化と地殻変動との関係を調べる研究(1991年以降)
 ある種の地下水は、地盤が伸縮するとそれにあわせて敏感に水圧を変化させるので、その変化は歪(ひずみ:地盤の伸縮)変化として扱えます。 長期の高精度な地下水観測に基づいて、観測点における地下水の歪に対する感度とノイズレベルを把握できていれば、断層モデル等に基づいて地震前後の理論的な地下水圧変化を計算でき、観測値と比較して定量的に評価出来ます。逆に、地下水観測値から適切なモデルを構築する事もできます。地震や火山活動に伴う地下水変化のメカニズムを解明する一方、地下水変化から地震や火山活動のモデル化に貢献することを目指します。

3)地震が地下水に与える影響の評価(1996年以降)
 地震による揺れや地殻変動(地盤の変形)は、地下水にダイナミックな影響を与えます。その影響を把握しておくことは、日本のような地震活動が活発な地域における地下水の長期安定性の評価や地震性地滑り等の地質災害の防災等に重要です。日本およびその周辺で発生した主な地震について、地震によって生じた地下水変化を調べ、揺れの強さや地殻変動の大きさと比較して定量的な解析を行います。また、そのような事例を積み重ねることで、地震時〜地震後の地下水変化の評価を事前に行なう事を目指します。

研究業績



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