滋賀県立大学環境科学部
環境生態学科
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肥田 嘉文(ひだ よしふみ)


役職 助教
研究室 B3-105
最終学歴 京都大学大学院農学研究科博士後期課程食品工学専攻退学
(1999年1月)
学位 博士(農学:2000年1月)
職歴

大塚製薬(株)大津研究所(1992年4月〜1995年3月)
滋賀県立大学環境科学部助手(1999年2月〜2007年3月)
滋賀県立大学環境科学部助教(2007年4月〜)

専門分野 環境科学(環境・健康影響評価)
所属学会 日本水環境学会,日本陸水学会,日本環境化学会,日本内分泌撹乱化学物質学会(環境ホルモン学会),日本環境毒性学会,日本リスク研究学会,日本環境変異原学会,The Society of Environmental Toxicology and Chemistry (環境毒性化学会)
研究紹介

 影響の出どころ(発生源)を見つけ、それがどれ程の大きさかを示して(評価して)皆にわかってもらう上で、自然界で見られる影響(現象)と"比較"することが有効な方法だと考えて取り組んでいます。自然に学ぶ、という視点を大事にしたいと思っています。

1)野外調査データに基づく「内分泌撹乱」概念の枠組みの再評価(2003年以降)
 水環境中の女性ホルモン(エストロゲン)様活性物質の魚類への暴露について、自然由来の要因(物質)が基底レベルとして支配的な役割をしているのなら、従来の枠組みによる「環境ホルモン汚染」という認識そのものが改められるのではないか。その証明を現場のデータにこだわってやってみよう、というのが研究方針です。具体的には、植物プランクトンが産生しているエストロゲン活性物質の存在を証明して特徴づける研究です。悠長さが受け入れられなくなっている今の時代こそ、大事と思うことを判断基準に、長い目で見てやっていこうと思っています。

2)野菜がもつ潜在的な毒性(発がん性)の程度から食の安全をとらえ直すための研究(2012年以降)
 野菜は、身を守るために多くの毒性物質を体内に持っていると言われており(それでも、野菜が健康に良いことは十分に証明されています!)、この影響の程度を表すことで、微量の化学物質(農薬、添加物など)の影響を相対化して、化学物質の使用を心配し過ぎる風潮を防止していければと考えています。特に、閾値のない毒性として懸念されている遺伝毒性(変異原性)のある発がん物質では、毒性が無い(ゼロである)量を実験的に定義できません。このような毒性の許容レベルを一般の人に理解、納得してもらえるようにする上で、定型のリスク評価手法から離れて、身近な自然の食品(野菜)を対象とした実証的なデータを示していくことを考えています。

3)人の身体の動きを阻害している要因を明らかにするための研究(2011年以降)
 文化・習慣やその中での人の考え方、あるいは道具などの生活・環境要因が原因(発生源)となって、現代の人が気づかずに本来的な身体能力に対する阻害を受け、それによって腰痛などの体の痛みの症状を招いているかもしれない、という発想でこの研究を始めました。人の身体にも、本来の"自然な"状態というものがあるはずで、そこへ「体力を付ける」、「柔軟性を付ける」、「痛みを取り除く」ことができる、といった人の発想が常識として組み込まれてしまっているのが現状だと思います。そしてそれは、根拠のないスポーツ振興や健康産業の温床となっている面があります。ここでは、人をはじめとする動物の姿勢・動作の原理が理解されていないことにより生じていると考えられるこれらの問題の解決に向けて、脚の骨格の形から推定される、本来的な「筋肉の意識的使用を伴わない姿勢・動作」の原理を仮に提案し、人の個人差を手がかりに検証していこうとしています。これも先の長い研究ですが、"健康"の状態に目を向け、人の生活の質の持続へと繋げていくのが目標です。

研究業績



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