環境動態学専攻

三田村緒佐武

環境動態学専攻長

昨年4月に矢部前環境動態学専攻長から引き継いではや10ヶ月が過ぎようとしている。この間,動態学専攻長の重責を果たすことができたとはとても思えないが,小生なりに何とかこなしてこられたのは,構成員の方々の暖かいご支援のたまものだと感謝している。

1.教員資格審査

環境科学研究科は文部科学省による大学院博士後期課程の設置審による拘束期間から昨年3月に開放され,本学研究科による教員資格審査が求められていた。しかしながら,研究科で審議・承認された資格審査基準「大学院環境科学研究科博士課程特別研究担当教員の資格審査基準」を受け環境動態学の審査基準要項「環境動態学専攻特別研究担当教員の資格基準要項」が策定されたのは昨年末であった。この間,専攻内で新たな資格審査を伴う職階の人事が生じなかったことは幸いといわざるを得ない。ただ,構成員の中で上位資格を有する教員がいることが考えられる中で,問題が生じなければよいがと案じられた。次年度から研究科自らの自治の中で人事が配されることになることはまことに喜ばしいかぎりといえる。

2.入学試験改革

環境動態学専攻博士前期課程入学試験の内容を研究科の理念に基づきより充実させるため,入学試験検討委員会を発足させた。ここでは学部のカリキュラムの改善とそれに関わる博士前期課程入学試験の改革が議論された。これを受け,動態学専攻が求める学生を在学させることが近い将来実現するものと期待された。

3.大学院生の動向

環境動態学専攻博士課程に在籍している大学院学生は次のごとくである。博士後期課程の3学年に10名(このうち生物圏環境研究部門が2名,生態系保全研究部門が4名,生物生産研究部門が4名)が在籍している。彼らは博士の学位取得を目指して日々研究に励んでおり,本人の人格形成にとってまことに有為なことと考えられる。しかしながら,新設大学院の常ではあるが,研究科の歴史は浅く伝統がないことに起因し,学術研究の方法論涵養が未完成であるため,彼らの中には学位取得とその基礎となる論文作成にとまどいが見られるように感じ取れるのは思いすぎであろうか。怒涛の勢いのごとく博士学位の取得者が現れ,本学環境科学研究科の学問理念・思想を世に広めていただきたいと願っている。なお,博士後期課程の2学年には5名(このうち生態系保全研究部門が3名,生物生産研究部門が2名),そして1学年に1名(生物生産研究部門)が在籍している。一方,博士前期課程には2学年が26名(このうち生物圏環境コースが5名,生態系保全コースが9名,生物生産コースが12名),1学年は25名(このうち生物圏環境コースが6名,生態系保全コースが12名,生物生産コースが7名)が在籍し環境動態学の各コース・諸領域において新たな環境科学の創造に向けて学究している。