生物資源管理学科この一年

但見明俊

生物資源管理学科長

1.はじめに

 県立大学が創設されて9年目という年は、大学院を含めた設置後の人事固定期間の最後の年に当たる。今年は大学がひとり立ちして行くための準備の最後の年であった。自分個人としては、設置3年目に農水省からの参加なので大学生活に慣れることで、さらに、こちらに来てから新しい仕事を立ち上げたので研究の方向を掴むことで、無我夢中の生活を送ってきた。学科長を引き受けたことで、初めて、まわりを見回そうという気が起こった。つまり、これまではもっぱら自分には宇宙人的とも見えた学生たちに眼を向けてきたので、まわりの先生方が何をなさっているかについては関心が低かった。そこで感じたことは、学科創設時の立派な精神が未だ完成されていない中で、早くも叫ばれている改革に対するとまどいである。

2.学生について

 自分の講義は年毎に内容を充実させてきたつもりであるが、学生の関心は年毎に低下して行っているのではないかと考えることがある。講義は内容ではないのではないか。それとも学生が変わってゆくのか。他の先生方のご意見や、そしてご講義も聴いてみたい気がしている。本年から、私費外国人留学生として2名の中国人が加わった。彼らに直接接する機会がほとんどなく、どんな学生生活を送っているのか気がかりである。本学科では4回生の1年間だけ、学生と先生の密接な付き合いがある。とはいえ、学生はまず就職活動に専念するので、本当の付き合いは就職が決まった後になることが多い。本年度65名の卒業予定者中、本学大学院入試に12名が、また他大学大学院入試に8名が合格しており、進学率はかなり高い。就職は相変わらず厳しいが、地元の関係はこれからである。 3回生にとって、来年の卒業研究をどの先生の下で行なうかは最大の関心事であろう。本学科では先生お一人当たりの担当は学生4名までということで、学生から希望(指名)を取って決めている。平成16年度は、学生4名を担当される先生が9名、3名が6名、2名が4名、1名が2名ということで来年に備えている。学生の希望を左右する要因は、はっきりしている場合もあるが、よく分からない面も多く、先生方を悩ませている。これまで、担当教員との接触をより深める目的で、学生に分属の決断を迫る時期を漸次早めてきた。今回は後期開始早々に行なったが、その後に変更希望の学生が出たりして、早過ぎたのではないかという見方もある。後期から始まる講義や実験で初めて接することになる先生方もあるからである。

3.教員について

 見回すと自分のほかに20名の先生がおられる。二つの大講座、すなわち生物資源生産大講座に12名と、生物資源循環大講座に9名とに分かれるが、便宜的に専門によるグループ分けが行なわれており、植物グループ5名、動物グループ2名、土壌・植物栄養グループ3名、微生物・昆虫グループ3名、水資源環境グループ4名、生物資源経済グループ4名という構成になる。微生物・昆虫グループというのはひどい分け方で、農薬による防除法を研究している訳ではないので微生物と昆虫は共通点に乏しい。微生物を用いた研究は動物グループや土壌・植物栄養グループでも行なわれているし、昆虫研究室では魚類の研究も行なっている。微生物・昆虫グループとは「その他グループ」と言い換えても良さそうである。本来、3回生が卒業研究のテーマを選ぶのに便利なようにということで分けたもので、分け方そのものが一人歩きしなければ、これはこれで悪いことではない。 平成15年度に卒業研究を行なった学生は、植物グループ12名、動物グループ9名、土壌・植物栄養グループ10名、微生物・昆虫グループ13名、水資源環境グループ12名、生物資源経済グループ9名であった。いそがしい思いをなさる先生と、比較的ひまそうな先生が出てきて当然だが、多くはグループをうまく使いこなすことで緩和できているようである。 学科からは評議員(秋田教授),交流センター長(小池教授)、環境管理センター長(川地教授)として本学の重要ポストで活躍され、秋田教授は大学改革構想検討会、小池教授は学長選考制度検討委員会でも活躍された。なお、小池教授には公立大学協会農学部会長もお願いしている。平成16年度には本学で部会が開催される予定である。