環境生態学科この一年

大田啓一

環境生態学科長

平成15年3月末に29名の卒業生を送り出し、4月に30名の新入生を迎えたところからこの1年が始まった。


1.学生の動き

1年間の学生数の動きは環境生態学科全学年を通して、願い出による退学者1名、休学者5名、うち1名が復学したので、休学継続者は1月末現在4名である。退学・休学継続者の数は学科全学生数(126名)に対しては5%未満ということになる。今日の大学事情の中ではまあまあの数字だろうが、休学者の中に「進路を模索中」がいることを思うと、受験生へのガイダンスは引続き強化していく必要があろう。

今(1月末)卒業研究に取組んでいる4年生31名の進路については、15名が就職内定、12名が進学内定を得ており、進路未定者は4名である。進路内定率87%は決して満足すべき数値ではないが、昨年に比べればかなりの改善である。また進学率が4割近いことからも「時代」の中に入っていることがうかがえる。

平成16年度入試のうちの特別選抜(推薦入試)と私費外国人留学生選抜においては、それぞれ6名と1名の入学を決めた。また推薦入試合格者については、入学までの課題として、理科の課題研究(理科?では探究活動)についてレポートを作成し、入学時に提出することを課すことにした。新しい試みである。なお推薦入試についてはいくつかの問題が生じている。高等学校が推薦してくる受験生の成績にも問題があり、学力レベルについて高等学校へのガイダンスを行う必要がある。


2.教職員の動き

 教員の移動はこの1年はなかった。長期出張としては丸尾助手の在外研修があり、6月から11月いっぱいまで、カナダのブリティッシュコロンビア大学に滞在された。

 客員研究員としては、湖南農業大学の張 軒傑先生を受け入れた。受入れ教員は近助教授、期間は10月から1年間とした。


3.入試科目の変更

 これからの入学試験の科目については、学科に4名のWG(伴、倉茂、野間、肥田各委員)を設け、AO入試も含めて精力的に検討してもらうとともに、2回の臨時学科会議を開いて慎重に審議した。

 その結果、平成18年度前期一般入試には5教科7科目のセンター試験と2教科3科目(数学、理科2科目)の個別試験を課す。一方、後期入試についてはこれをかなり変更し、5教科5科目(国語、地歴公民、理科、数学、英語)のセンター試験と、個別試験としては理科1科目(物理、化学、生物のI・IIより)と総合問題を課すことにした。総合問題の出題範囲は「理科各科目についての高等学校の学習内容を前提とし、自然環境に関わる現象の解析力や論述・表現力および問題解決力の考査をする」とした。これによってこれまでの試験では見抜けなかった能力の評価を始めることにしたわけだが、それがうまくいくかどうかは、相当のところ問題のよしあしにかかっている。学科の知恵を出しあいたい。


4.本学科教員が関わった新しい教育・研究活動

 環境科学部と人間文化学部は今年度、ミシガン州立大学との連携の一環として、ミシガン州立大生向けの講義を開講した。環境科学部の講義はEnvironmental Sciences in Japan - Environmental Issues in Lake Biwa and Asia。1月19日から始まり3月末に終了する。これをミシガン州立大学連合日本センター(JCMU)に来ている13名の学生が受講している。講師は上野、井手、高橋、大田(主査)の各教員で、講義立ち上げには上野講師の貢献が大きかったことを付記したい。

 また環境科学部は明治大学工学部と共催で。公開講座「環境科学セミナー」を始めた。場所は明治大学。両大学で行う運営には本学科の国松、大田教授が関わり講師として近助教授が2月の講義を担当された。

 21世紀COE申請への関わり方は、前年の学部年報7号の国松教授の記事に詳しい。平成15年3月に申請したプロポーザル「湖沼環境アカデメイアの創生」は通らなかったが、一定の評判は得た。大変幸いなことに本年度末に、3回目のCOE挑戦ができる可能性がでてきた。少なくとも4・5名の本学科教員がこの申請に関わることになろう。捲土重来を期したい。