環境計画学科環境社会計画専攻この一年

仁連孝昭

環境社会計画専攻主任

 平成13年度から14年度まで環境計画学を主な担当として赴任しておられた澤田誠二教授が明治大学理工学部に転出され、平成15年度当初は教員1名の欠員で出発することとなった。もともと教員数9名の小さな専攻であるだけに、欠員1名は大きな戦力不足となった。公募の結果、澤田教授後任は秋山道雄助教授が就任することになり、秋山教授が生まれたが、教員の欠員は数の上では満たされなかった。

また、本専攻から土屋正春教授が環境科学部長に選出され、新たな学部運営体制が生まれることになった。なお、仁連孝昭は昨年度から引き続き滋賀県庁の琵琶湖環境部管理監を併任している。


研究

平成15年1月から国が設定する重点研究領域で地域のCOEの整備を目指す共同研究事業である地域結集型共同研究事業「環境調和型産業システム構築のための基盤技術の開発」が科学技術振興事業団の研究資金を得て始まり、その中で5つの研究グループが動き始めた。そのひとつである、「シーケンシャル・ユースの評価手法の開発」のグループリーダーを仁連孝昭が務め、研究グループは専攻の中から井手慎司助教授、金谷健講師が、他学科から高橋卓也講師(生物資源管理学科)、他大学・研究機関から小幡範男教授(立命館大学政策科学部)、前川昭研究員(滋賀県工業試験場)が参加している。またこの研究には、滋賀県琵琶湖環境部廃棄物対策課、環境管理課、新エネルギー対策室、滋賀県企画調整部統計課およびしがぎん経済文化センターが全面的に協力している。また、この研究を推進する中核機関として(財)滋賀県産業支援プラザが研究棟を大学キャンパスに隣接して建設された。なお、この研究グループの専任研究員として、環境計画学専攻の博士前期課程修了者である吉田徹君が活躍している。この研究は、滋賀県産業連関表を拡張して詳細な産業部門による産業間のマテリアル・フローを作成しようとするものであり、経済循環と物質循環をリンクしたデータ・ベースを作成し、技術開発の評価、政策評価に役立てようとするものである。


教育

社会計画専攻では、実習・演習系科目を重点的に配置し、できるだけ学生自身が能動的に行動することを通じて学習する環境を整備してきた。その集大成として卒業論文が位置付けられ、平成14年度から3回生の後期(1月)の卒業論文着手発表会を始めることになり、今年度は2回目の卒業論文着手発表会が実施され、すべての4回生進学可能な学生が発表した。3回生の10月から卒業論文の準備をはじめたばかりであったが、昨年度よりは1月段階としては進んだ研究報告が多かった。4回生は5月、9月の中間報告を経て、1月の論文提出、2月の公開発表会を受けての論文審査により正式に学士となって巣立っていく予定である。今年度は新たな、社会人教育プログラムが始まった。環境科学部と明治大学理工学部が共催して東京の御茶ノ水にある明治大学の施設で環境科学セミナーを開催した。平成16年の1月から2月にかけて3人の本学講師がセミナーを開催するものである。環境ビジネスに関心ある企業および社会人を対象にし、45名程度の受講者が集まった。講師として本専攻から仁連孝昭と井手慎司助教授が参加した。将来的に大学の枠を超えたセミナーとして発展させることの意義が確認された。

社会計画専攻は小さな専攻であるが、専攻の研究・教育パフォーマンスは結構高いのではないかと自負している。その他にも、地域貢献、国際貢献における分野でも社会計画専攻はすべての教員が役割を果たしてきている。問題は、専攻教員が研究教育を振り返り、将来にわたっての戦略を練り、戦略に基づいて行動できていないことである。来年度以降は、長期戦略を練り上げていくことが優先課題として加わることになろう。