ランドスケープの創造・2002

環境計画学科 環境・建築デザイン専攻

環境意匠大講座

三谷徹

■研究活動から

<福井県立図書館・公文書館庭園の竣工>

 公開設計競技に槇文彦氏とともに応募し、一等入選したのが1997年11月。それから丸5年の時間をかけ2002年12月にようやく竣工を迎えることができた。

 建築面積15000?に対し74000?の敷地を用意し、図書貸し出しという単一な機能にとどまらない自由で開放的な空間を計画したことは県の英断である。閲覧室は2つの中庭を囲みながら外の庭園部分に明るく開いており、静かな水盤によって動線管理をしている。庭園デザインの骨子は、この開放的な閲覧室を光と風の景で包み込んであげること、そして屋外へ出ればマウンドを登り、見晴し台で憩い、木立の中に入ってゆく空間体験を1本の園路の造形で展開することであった。

 最近はCGのスタディーが容易になったものの、連続的に変化する地形に沿って、風になびくリボンのような園路が現実に姿を現した時は、ものづくりの喜びを感じたときであった。

 地の利もあって現場の設計監理に研究室の学生達を連れてゆくこともできた。土工事や排水工、舗装工などのリアルな姿を彼らに伝えることができたと思う。

 この図書館は2003年2月に、一般公開される


図書館南庭風景


大西理人(修士1年)の出典作

■教育活動から<ランドスケープ6大学展002>

 ランドスケープ6大学展は、近畿地区のランドスケープを研究教育している大学が集まり、学生の設計成果を発表する場として2001年より始められた。参加大学は西から、神戸芸術工科大学、大阪府立大学、大阪芸術大学、京都造形芸術大学、奈良女子大学、そして滋賀県立大学である。

 今年の会場は大阪梅田のギャラリーであり、昨年にも増して多方面、多人数の来展者があり、講評会では会場に人が入りきれない程の盛況ぶりをみせた。

 滋賀県立大学からは5名5作品を出展した。その詳細はここには述べないが、「琵琶湖をもつ環境ならではの発案」、「建築と一体化したデザイン力」など、高い評価が得られたのはうれしいことである。

■本年度をもって退職するにあたり、小生を育てて下さった環境科学部に感謝の意を表します。