藤原研究室のこの一年

環境計画学科・環境・建築デザイン専攻

環境計画大講座

藤原悌三

 私の一年は学生達(M2岡本祐果、M1余谷和則、研究生源田考司、吉村拓斗)と一緒に過ごした一年です。

 昨年から引き続き行ってきた鳥取県西部地震の被害とその分析とともに、今年も日野町で震災後の復興過程を調査し、兵庫県南部地震で被災した淡路島一宮町の調査を加えて、中小都市の被害と復興の実態を把握し、湖東地域の防災力向上に向けての研究を岡本さんが修士論文としてまとめています。3年間の科学研究費の支援を受けて、湖東地域振興局の協力による自主防災組織の意識調査、荒神山から彦根城までとその直交方向の地盤調査に加え、彦根市内を包括する表層地盤の動特性を明らかにするとともに、彦根の木造住宅の動特性調査を実施して、中小都市の耐震性向上に向けての研究を行っています。卒論の課題である彦根の災害危険地域を特定した上、主として彦根市城西地区を対象に、狭隘道路の災害時の問題点を明らかにして対策を検討しています(柿木義広)。また、米原町では、主として磯地域を対象に災害緊急医療や火災対策についての研究を進めています(橋本さやか)。昨年3月に竣工した免震木造実験棟に、風観測と地震観測の結果を同時収録できる装置を購入して、強風時の建物の挙動を調べ、免震建物の有効性について検討しています。現在までに震度III程度の地震や強風時の記録が得られており、卒論としてまとめています(多和田裕子)。

 昨年から行っている滋賀県地震防災研究会は県・県内各市の積極的な参加を得て藤原・福本・小林・松波・岡本各氏とともに、各市の災害時の問題、主としてハード面の防災について議論してきましたが、今後は自主防災組織や救急体制などソフト面の防災についても議論を深めたいと考えています。

 滋賀県住宅センターの支援を受けて、県内の木造住宅の耐震性、地域の災害時の安全性、集落形成過程などの研究を福本・松岡・伊丹の各先生と行っています。

 この一年間の発表論文

 滋賀県では、滋賀県建築審査会、滋賀県建築物耐震判定委員会、滋賀県土砂災害危険地域対策専門委員会の委員を継続しています。また、湖東地域振興局の「自主防災組織リーダー研修会」で「滋賀県立大学の自然と地域の防災」について講演しました。なお、昨年度、一部報告しましたが、博士課程に在学していた陶器浩一氏が「人間環境と構造技術のかかわりに関する研究」により博士(環境科学)第一号を授与されました。