大学院環境科学研究科 計画学専攻のこの一年

環境計画学専攻長

藤原 悌三


平成14年度計画学専攻の専攻長を仰せつかってからまもなく一年になります。ご協力ありがとうございました。

大学院生の動向

昨年の環境科学部報に奥野先生が途中経過をお書きになったように、2002年3月に大学院環境計画学専攻環境意匠コースの博士後期課程の学生、陶器浩一氏が「人間環境と構造技術のかかわりに関する研究」により、滋賀県立大学博士(環境科学)第1号を取得しました。期間短縮の条件を満足して京都大学の修士課程二年間とあわせて三年間で取得したものです。環境計画学専攻の修士学位は環境意匠コース14名、地域環境経営コース4名の計18名が取得してそれぞれ新しい進路に進みました。環境意匠コースの進路は三菱地所、北山創造研究所、岐阜県庁、サンケイビル、都市基盤整備公団、日本アイ・ビー・エム、京大博士課程などですが、就職課に報告した学生は7名で、未定の人も何人かいるようです。教員が積極的に就職先を開拓していく必要がありそうです。また、9月には大学院の入学試験があり、環境意匠コース17名、地域環境経営コース3名がそれぞれ修士課程に進学しました。博士後期課程には環境意匠部門に一名、地域環境経営部門に二名の合格者がありました。地域環境経営の博士前期課程は応募者が少なかったため、2次募集をすることになっています。本学からの進学希望者を増やす方法を考える必要があるのではないでしょうか。

研究科の課題

大学院博士後期課程も平成15年度は設置後3年目を迎え、いわゆる文部科学省のしばりが無くなります。これから、滋賀県立大学の真価が問われることになるでしょう。来年度はCOEへの応募も予定されており、大学院教育はもちろんですが、教員各自が社会に発信できる研究を推進することにより、COEとなる実績が得られるわけで、滋賀の地域に根付いた世界に発信できる研究を期待したいと思います。

大学院の教務委員会ではコミッテイ制とオムニバス教育が話題になっています。コミッテイ制については一人だけのコミッテイもあって良いのではないかとの意見です。教員数の少ない専門領域では適切な指導のできる教員が限られてしまうのが理由の一つです。一方で広い視野からの指導も必要だとの意見もあります。高度な専門性を必要とする大学院教育の方向を明らかにすることが問われています。

オムニバス教育も同様の視点から問題提起されています。オムニバス教育は各教員の分担時間が少なく概論で終わる傾向があります。専門の内容によるのかもしれませんが、専門性を重視した教育をするにはせいぜい二名以内の教員による講義が望ましいのではないでしょうか。

先日、学部学科・研究科の構成と性格に関するアンケートが実施されました。社会計画専攻の先生は現状維持のご意見が多く、建築デザイン専攻領域の先生は改組して、社会計画と建築デザインを独立させる意見が比較的多いようです。大学院についても先生方の意見がかなり分かれているようで、今後本気で議論していくことが求められそうです。

環境科学部の予算配分は職位に関係なく一律に配分されていますが、必要な研究に重点的に配分しようとの動きもあります。プロポーザル方式にするのも一案かと思いますが、皆の合意を得て良い研究が推進できる環境を見いだしたいものです。

若干余白がありますので、平成15年3月修士課程修了学生の就職状況を報告しておきます。地域環境経営コースは後期課程進学者3名の他、ぎょうせい、サーペイリサーチセンター、北陸緑化、環境意匠コースは内井昭蔵設計事務所2名、INAX、日研ハウジングシステム、類設計室に進学・就職しますが、約半数は未定です。