実践的地域連携

柴田いづみ

環境計画学科環境・建築デザイン専攻

環境計画大講座

はじめに

 経済学者の川勝平太氏(国際日本文化研究所)は、「経験・行動した事が一番強い。」と述べている。教室・研究室内の教育・研究では、社会の多様性の中から問題点を把握するのには限界がある。

 ACTについて今までも書いているが、ACT自体も「行動」であり、「Action Connect With Town : 活動はまちにつながる」の頭文字である。

 私自身の研究が「建築計画、コミュニティ計画」と地域と直接関係があることでもあり、大学の地域連携は当然のことだと思っている。

ACT

 1998年からのACTの活動拠点である彦根市銀座街に建つACT Stationの廃墟ビルが2000年6月、売却された。コミュニティ・レストランとして開業しようと改装中だったが、イベント「lady Killer」として、19日間に800人以上のお客様が来てくれることになった。その後10月の末に新オーナー代理との話で、活動そのものは継続し、銀座街からの依頼で、2000年12月「銀座光路」、2001年3月「銀座画廊」を企画・設営をした。(環境科学部報平成12年度第5号参照) レストランはお借り出来る期間が定まらないので開店はあきらめたが、ACTのOBの真本英行君がオーナーシェフとして、登リ町通りにイタリアンレストラン「Cafe´ Hush」を2001年の8月にオープンした。ACTベンチャー第一号である。国際AKINDO委員会の[Beautiful Business Plan Competition]で、ACTメンバーの提案が最優秀賞をいただいたが、これは、学生が年を重ねても地域に住み、地域で事務所の開業などの起業家となる筋立てであった。

近江八幡市津田内湖

 1997年から環境フィールドワーク(FW)Aグループとして、津田の干拓地に対しての調査と将来への提案を行ってきた。今年度は、公開ヒアリングに加え、公開ワークショップを行い、津田の干拓地での実験湖のイメージや市民主導・参加のあり方を考えた。干拓地が、内湖として復元(再生・創造)出来ても、その後に単なる水溜をつくっただけに終わらず、内湖が琵琶湖に有意義に機能しているか、水質・植物・鳥 ・魚などに関しても継続調査が必要である。これらは、環境教育の一環として、また市民の方々の自発的な企画や運営が必要になってくる。また、漁業や農業について、観光(エコツーリズム・グリーンツーリズム)についても将来像を考える必要がある。これらは、地域の産業や地域そのものが成り立つ方法論を大学の発想と共に考える必要がある。

くずくず発電プロジェクト

 湖東地域振興局と野間先生が中心となり、「森林発電プロジェクト」が進められている。一方、ACTでは、「ベンチプロジェクト」として、間伐材と薪にしかならないような廃棄木材を使って、ベンチを作成している。その際に出たかんなくずを使って、森林発電用のペレットを京都のベンチャー企業に作成してもらい、その後、発電に使用してもらうようにした。民間産学の[ベンチプロジェクト]+[森林発電プロジェクト]=[くずくず発電プロジェクト]である。

終わりに

彦根市花しょうぶ通りのモットーは「100の愚痴より10の提案。10の提案より1の行動」である。ACTでは、「100の提案より10の行動。10の行動より1の夢」である。学生達は行動エネルギーはある。しかし、夢が描けなければ行動も起きれないし、楽しくない。その夢のきっかけを与えるのが教育者の役割であると思う。又、研究者の集合体である大学においても潜在エネルギーは膨大である。それも、「夢」として描けなければ、最初の一歩も出られない。最初の一歩により始めて違う地平線が見れるのである。研究の一環として地域と連携する事も、専門的知識を持った社会の構成員の一員として活動するにしろである。

1,2 銀座光路

3,4 銀座画廊


5 チャリティーライブ  6 ベンチプロジェクト

--------------------------------------------------------------------------------