環境社会計画専攻のこの一年

環境計画専攻主任 

土屋 正春


 平成13年度の大きな出来事は、なんと言っても末石先生の退職と、後任の澤田教授の就任である。

 本来は末石教授と記すべきなのだろうが、我々にとってはあくまでも末石先生でなければ話が進まない、というくらいの意味ある存在であった先生だけに、残念至極な思いは専攻全員に共通していた。先生の意味は、とりわけ「環境社会計画」という専攻のコンセプトを打ち出したところにある。ともすれば「専門」に分化し、その研究と教育とをもってする従来型スタイルでの「環境問題」へのアプローチでは限界がはっきりしているのではないかという考え方が背景にあることは知られている通りで、とりわけ「社会」のあり方について正面からの問い直しが緊要の課題として意識されている。

 「問題」としての意識はとりもなおさず「解決」を志向することになり、キャンパスガイドで「問題解決型学習」という言葉が繰り返して登場するのはここに理由がある。そうした方向に社会的な要請が強まっているのは各地で開設されている大学院の内容などからも知ることができよう。

 さて、そうした方角を向いている専攻なのだが、末石先生の後任である澤田教授は建設業界から転じての就任で団地再生という極めて今日的な問題に国際的なネットワークを背景にして取り組んでいる。

 典型的な問題解決型の研究スタイルなのだが、専攻にとってはこれまでにない展開が得られるのは確かである。というのは、環境計画学科の基本コンセプトの一つである「地域」へのアプローチに都市環境からの実際的な視点が加わることになり、ひいては建築デザイン専攻との有機的な関係も育つと考えられるからである。

 それにしても当専攻はスタッフ人数の少なさから極限状態の運営を余儀なくされている。この基本的条件が改善されない限り、当初の目標達成の途は遠い感がある。