子どもと遊ぶ。自らを高める。〜児童文化実践さーくる「ひなた」〜

垣下 允宏

環境生態学科3回生

 "児童保育"という言葉をご存じでしょうか?

最近はマスコミなどにも取り上げられたりしていますが、両親が共働きである、などの理由から"放課後家に帰ってもひとりぼっち"の小学生に対して行う保育活動のことで、彦根市では各学校に"留守家庭児童学級"という施設が設けられており、低学年の1・2・3年生を家の人が帰宅する時間まで預かっています。

 "児童文化実践サークル「ひなた」"では、彦根市内の6つの小学校、稲枝東・金城・城南・高宮・平田・若葉を週1校のペースで回って、子どもと接するボランティア活動を行っています。

 具体的な内容は、自作の紙しばい・ペープサート(紙人形劇)の上演、魚つかみやクッキングなど、こちらから子ども達に遊びや体験を提供したり、逆に子ども達が普段からやっているドッジボールや鬼ごっこなどの遊びに混ぜてもらうというパターンまで、色々なプログラムを織り交ぜて、子ども達と遊んでいます。

 「ひなた」のメンバーは環境科学部と人間文化学部の学生で構成されています。ですから、保育を専門として勉強している人はいません。私自身、保育という言葉には中・高の家庭科でお目にかかった程度で、実際に子ども達と接したことなどほとんどありませんでした。当然、活動を始めたばかりの頃は、子どもとの接し方が分からず、四苦八苦していた覚えがあります。子ども達の多くは、最初のコミュニケーションの手段として、言葉よりもスキンシップを多用してきます。つまり、蹴りやらパンチなんかが頻繁に飛んできます。これにははじめ面食らいましたが、実際、言葉よりもスキンシップを使った方が何倍も早くうち解けることができます。これが分かってからは、持ち上げたり、技をかけたりして私も楽しく暴れております(もちろん安全を確保した上でですけど)。

 しばしば留守家庭児童学級の先生が、私たちの訪問を楽しみにしている子ども達の様子を話して下さることがあります。何日も前から、毎日のように「今日来るん?いつ来んの?」と先生を質問責めにしたり、プレゼントを作ってくれたり、蹴りを入れるための作戦を立てたり…。嬉しいじゃありませんか、こんな話を聞いた時は、ますます張り切ってしまいます。

 私たちはよく子どもから"おんぶ・かたぐるま"をせがまれることがあります。学級の子の中には母・父子家庭の子も少なくないそうで、私たちに父親や母親を求めているのではないかと聞かされたことがあります。又、先生だけでは、どうしても子ども全員に注意が行き届かないので、私たちの存在はとても嬉しい、とも仰って頂きました。私たちの活動の意義を皆で再認識したものでした。

 私が学級に行き始めてからちょうど2年が過ぎました。ようやく、子どもと接する要領が少しだけ分かってきたように思います。今年の私の目標は、"叱る"を勉強することです。叱ることは保育の中でもとても難しいことだといわれます。しかし、子ども達の将来を考えると、いつまでも笑って流してはいられせん。頑張りたいと思います。

 子ども達の心の中に、私たちと遊んだことが楽しい思い出として刻まれるといいな、と思います。