学生サークルの環境活動あい次いで全国表彰

吉田徹

環境科学研究科

博士後期課程

2005 年12 月に吉報が2 つ同時にやってきた。1つ目は滋賀県立大学グリーンコンシューマーサークルの(以下グリコン)「第8 回グリーン購入大賞」の大賞決定である。学生の大賞受賞は初である。もう1つは環境マネジメント事務所(以下EMO)の「第3 回全国大学生環境活動コンテスト」のグランプリ・環境大臣賞。大学生の環境活動でいう「甲子園」のようなものである。2006 年1 月には國松滋賀県知事にダブル受賞報告を行った。


私はこの2 サークルの設立から現在まで係わっており、喜びはひとしおである。受賞の理由もともに「活動の継続性・広範囲への展開」があげられている。以下各サークルの取り組みについて説明する。

グリコンは2005 年末時点で部員16 名。設立から9 年目を迎える。

1997 年設立から環境配慮商品普及のための活動を実践してきた。1998 〜 2002 年には独自にエコ文具リストを作成し、彦根市内全学校新入生へ配布した。1998 年から大学生協購買部にエコ文具棚を設置し、定期的に商品提案を行ってきた。


1999 年から滋賀グリーン購入幹事を通じ県全域へのグリーン購入普及や参加団体との連携を実施してきた。

2000 年に彦根市内の環境と健康に配慮したお店団体紹介本「ひこね読本」発行。この本で発見したお店の商品を中心に大学生協食堂での取り扱いを開始し地産地消を促進している。

2004 年から文具販売動向をもとに商品の改廃を正確に把握できるように改良した。また、滋賀県立大学だけのエコ文具導入活動から京都・滋賀・奈良の19大学生協を含めた取り組みに拡大できるように仕入担当部局とタイアップにこぎつけ、毎月Bungu Walker として販促用チラシも配布している。また現在メーカーに問い合わせ、エコ文具の共同開発を目指している。



これらエコ文具と食のグリーン購入に対する発展的な取り組みを通してグリーンコンシューマー活動の浸透とグリーン市場の拡大に努めている。

EMO は2005 年末時点で部員25 名。設立から4 年目。サークル化する前である2000 年7 月から滋賀県立大学生協の環境マネジメントシステム(以下EMS)構築支援活動を軸に存在している。

2002 年から毎年5 〜 6 月に学生が学生に「内部環境監査員養成セミナー」と「EMS 構築セミナー」を実施している。


セミナー後募った学生とともに毎年8 〜 9 月は大学生協の内部環境監査、EMS 構築作業を実践する。


2003 年から彦根市にあるJA 東びわこのEMS 構築支援も実施しており、2005 年2 月には認証登録までこぎつけた。

この間様々な関係者との接点を大事にして行く中、「点のEMS」をつなげる「面のEMS」を構築することへ展開している。


このように、両サークルが展開していることが受賞理由と重なっている。それは

1.次々メンバーが入れ替わり、世代交代や活動の継続が難しい中、その課題を克服し活動を継続している

2.活動のレベルが年々向上し、活動の幅も広がっている

3.学生の活動は学内だけになりやすいが学外団体との連携による活動を展開できている


ここまでの活動が展開できていることを整理する。


A) 両サークルの関係者の存在

近年の社会情勢から考えて、組織は余裕を失いやすく、単純に考えて学生と関わることにためらいやすくなっていると考えられる。そんな中関わり続けていただける環境に甘んじることなく努力していくことが大事である。

B) メンバーの熱心さ、素直さ

おそらく関係者の協力が得られているのは学生メンバーの熱心さ・素直さに対して「希望」を感じているからである。

C) 三方よし

サークルは関係者に対してもメリットが発生する活動を考え展開して行くことが重要である。自分にも、サークルにも、関係者にも、これら以外の周辺にもメリットのある活動を考えることが活動の継続性の鍵である。

D) 情報共有

両サークルとも関係者・卒業生も含むメーリングリスト(PC 用、携帯用)を構築し、毎日追いつかないほどの情報が流れている。また、各作業に関して顔をあわせての集まりも週1 回以上のペースで開かれている。情報の豊富さは活動の基盤である。

私個人として上記のことを念頭に置きつつ、『今後の活動のアイデアの提供』『後輩の活動しやすい環境作り』をサポートして行くことを考えている。特に環境活動を通しての「就職観の育成」、「コミュニケーション能力の向上」が鍵であると考えている。