環境計画学科環境社会計画専攻の一年

秋山道雄

環境社会計画専攻主任

独立法人化を来年度に控えて、県立大学としては最後の一年に当たる。2005 年3 月に35 名の卒業生を送り出し、4月に41 名の新入生を迎えて新たな年度が始まった。

1. 学生の動き

新入生の41 名に加え、2回生42 名、3回生43 名、4回生48 名となっている。4回生が他の学年よりかなり多いのは、5回生以上を含めているためである。外国留学等で卒業が遅れるのは積極的な意味があるが、入学して以後、いずれかの時点でペースが遅くなったため5回生以上になるというケースについては、個人の事情に応じた対応が必要となってくる。48 名のうち、休学その他で今年度に卒業論文を書かない4回生が11 名いるので卒論提出予定者は37 名となる。昨年よりやや多いとはいえ、ストレートで4回生になった学生のなかに5名の未提出予備軍がいるのは例年に比べて高い割合となっている。勉強への取り組みに学年のカラーがあるのではないかという印象を感じる状況である。

数からみた趨勢ではなく、個人に焦点をあててみると、卒業論文の出来が良いケースが例年一定数存在しており、本専攻で学んだ成果を発揮して卒業している。

2. 教員の動き

3月には、本学創立以来在職された奥野長晴教授が定年を迎えられた。東京都庁を退職後、単身で赴任され10 年間を過された奥野教授の労を多としたい。奥野教授の後任を公募した結果、本専攻の石川義紀助教授が候補者となり、今年度には教授として学務に当たられることとなった。

また、昨年度に公募をしていた環境政策論の担当者として、4月から錦澤滋雄講師が新たに赴任された。錦澤講師は、東京工業大学で環境政策や環境計画を専攻し、合意形成をめぐる問題に関心が深いので、本専攻の教育・研究に活躍が期待される。

本専攻の教員定数が9名にもかかわらず1名の欠員が生じているので、今年度は講師の公募を行なった。1月10 日の締め切りに48 名の方が応募され、現在選考中である。順調にいけば、4月からさらに1名の講師を迎えて新たな体制で来年度に臨めそうである。

3. 専攻をめぐる動き

昨年度から本学で外部評価を行なうという決定がなされ、各学科・専攻ごとに外部評価委員会が設置されることになった。本専攻では、龍谷大学環境ソリューション工学科の宗宮 功教授と立命館アジア太平洋大学副学長の仲上健一教授が外部評価委員に就任された。3月29 日に本学でご両者から「1. 大学の理念・学部の理念等について(進むべき方向と役割)、2. 教育活動について、3. 研究活動について(とりあげるべき研究活動、スタッフの充実等)、4. 社会活動について(なすべき地域貢献、学会活動等)、5. 組織運営について(事務処理、研究組織、研究支援体制等)」について包括的な評価を受け、かつ長年にわたる大学教員としての経験を踏まえた貴重なご意見を伺った。ここではその詳細には触れないが、今後の専攻運営に生かしたいと考えている。

本専攻と環境・建築デザイン専攻とが一緒になって環境計画学科を編成しているが、独立法人化して1年後にそれぞれが学科として独立するという計画がほぼ承認された。これは2年ほど前から、両専攻で議論を重ねてきたものであるが、ここにきてようやく一定の方向で決着をみることになった。これと併行して、新しい学科の名称や新カリキュラムの内容についての検討が専攻会議で順次進んできた。来年度には、ほぼその骨格が固まる予定となっている。

こうした環境計画学科の動きとは別に、5月に環境科学部の教員別担当科目一覧のデータ(担当コマ数および学生数)が学部長から全教員に配布された。これをみると、当専攻の教員の負担にかなりの差があるので、なるべく格差をならす方向で担当科目の再編を行なうこととなった。これと新学科の構想とが関連しているので、今年は両者を統合してカリキュラムの再編を議論している。

大学改革の一環という位置づけで、今年度から一般研究費の評価配分が実施されることになった。評価基準を決める過程でもその内容については種々の議論があったが、一応決定された基準に従って評価を実施してみると、本来評価がめざしている成果と評価基準とが整合しないものが出てきた。この方式を今後そのまま踏襲するのは、時間がかかる割にその成果が今一歩という問題があり、見直す必要があるというのが評価に関する書類をまとめていて抱いた感想である。