環境計画学専攻の一年

秋山道雄

環境計画学専攻長

環境計画学専攻は、地域環境経営コースと環境意匠コースからなる。前者は、学部の環境社会計画専攻に所属する全教員と生物資源管理学科に所属する社会科学系の教員4名によって構成されている。後者は、学部の環境・建築デザイン専攻に所属する全教員によって構成されている。そのため、通常の教育・研究活動はコースごとに行なわれており、専攻共通で実施しているものはごく少数である。そこで、この欄では専攻に共通する事項についてのみ触れ、詳細は各コースの記述に委ねることとする。

昨年度から研究科担当教員の資格審査が始まっているが、その結果を大学院の募集要項に表記して、受験生に志願の際の便宜を図ろうということが決まった。特に後期博士課程に進学する際、指導を希望する教員が担当できないという事態を事前に防ぐためである。

環境科学研究科では、環境動態学専攻・環境計画学専攻のいずれでもすでに課程博士が出ているが、論文博士についてはこれまで審査の規定がなかった。そこで、両専攻および各コースの研究内容や研究スタイル等を吟味しつつ、ようやく論文博士学位申請・審査の内規がまとまった。これにもとづいて、今年は論文博士の学位申請が出されるようで、学位審査に関する体制が整ってきた。




地域環境経営コースの一年

秋山道雄

地域環境経営コース長

2005年3月に4名の博士前期課程の院生を送り出し、4月に6名の博士前期課程の院生と1名の博士後期課程の院生を迎えて、今年度が始まった。

1. 院生の動き

新入院生の6名と1名に加え、博士前期課程2回生5名、博士後期課程2回生2名、同3回生1名となっていて、総勢15名である。定員が博士前期課程の各学年で6名、後期課程の各学年で2名であるから、今年度は定員をやや下回っている。昨年度は、前期課程と後期課程の院生を合わせると定員を上回っていたが、年度の変わり目で前期課程2名、後期課程3名の退学者があって、結果的に今年度のようなメンバーとなった。大学院に入った院生が中途で退学するというのは、やむを得ない事情の院生がいるとはいうものの残念なことである。研究の焦点が定まらなかったり、研究の方向を見失った結果去っていくというケースもあって、この辺りは研究指導の仕方に工夫を要するところであろう。

年に3回の論文中間発表会を開いて、コースの教員全員が各院生の進捗状況をみていると、入学時から時間が経つにつれて視野が広がり、報告内容が前進している発表もある。こうした点をみると、院生相互が切磋琢磨する機会をもって、積極的に勉強を進める院生から刺激をうけるといった営みが必要かもしれない。

2. コースをめぐる動き

当コースは、環境社会計画専攻の教員全員と生物資源管理学科の社会科学系教員4名とから構成されていて、発足時から学部と大学院のねじれ現象が指摘されてきた。それを克服するためには、生物資源管理学科の4教員の配属を再編して学部と大学院の構成が一致するようにする必要があった。今年度には生物資源管理学科で話し合いが行なわれた結果、4名のうち2名は生物資源管理学科に残り、あと2名は環境社会計画専攻に移ることが決定された。これが実行されるのは2年先の予定であるが、これでようやくねじれ現象を解消し、学部と大学院を一体として教育・研究のあり方を考える素地が生まれることになった。学部では、新たに加わるであろう2名の教員を加えた際のカリキュラムのあり方が検討され始めている。そこで、当コースでも再編後のカリキュラムや研究の進め方についての検討を始める予定である。

12月には、こうした動きの一環として、教員と院生合同の検討会を開いた。今回が初めての会合なので、主として院生が現在の大学院についてどう受けとめているかを聞くこととした。院生の要望のなかで、論文を書くということについて問題の設定から技術的な事柄までまとまった指導の機会が欲しいというものがあった。論文指導については、ゼミ担当の教員が個別に行なっているが、講義のような形式では行なっていないので、今後の検討課題となる。この話し合いの結果、院生各自の取り組んでいるテーマについての研究史をまとめるという課題を課し、年度末の中間発表までにまとめるということが決まった。大学院改革に関する議論を深めていく過程で、さらに改善点が出てくるのが期待される。




環境意匠コースの一年

柴田いづみ

環境意匠コース長

平成17年度の終わり、異常気象と言われる豪雪の冬を迎えています。各地での被害は過疎、高齢化社会問題を浮き彫りにしていました。また、2005 年暮れに起きた姉歯問題は、建築界としても襟を正し、建築の倫理を再考するきっかけですが、今回のような「新規に竣工した基準不適格建物」以上の数の「新耐震が施行された1981 年以前の建物の耐震補強」も、急がなければならない建築界の大きな課題となっています。

意匠コースにおける今年度の在籍は以下、計22名になります。(休学7名を除く)

D3:1名、D1:1名、M4:1名、M3:1名、M2:5名、M1:13名(その内外国人枠:1名)

また、今年度は論文博士の規定「滋賀県立大学環境科学研究科における論文提出による博士の学位授与に関する内規」が整備され、意匠コースでは、2名の応募がありました。課程博士も含めて以下の3名が博士の学位を授与されました。

課程博士

西村勝尚,建築における長寿命化・省資源化に係る構造技術に関する研究.

論文博士

長能正武,震災リスクマネジメントに関する研究.

堀田洋之,地盤・基礎・地下構造物の変形と環境上の諸問題に関する研究.

本年度は、平成18年度4月からの大学院カリキュラムの変更を協議してきましたが、以前に大学院教務委員会での合意事項に基づかなければならない為に、平成19年度からの変更と、合意事項に合わせたオムニバス方式を再度協議することとなりました。参考の為に、以下に合意事項(研究科会議2001年12月承認)を記しておきます。

環境科学研究科 教務委員会 2001年11月22日隔年開講の受け入れの考え方

隔年開講に関しては、教務委員会での検討の結果、以下の基準案を作成しました。

これは、そこにあるように試行的に行い、適時見直しをするものとしたいと考えています。基準決定後、希望があれば各コース教務委員に届けてください。

隔年開講が、担当授業の目的に照らして、教育効果の面で本当に意義がある場合に限るなど、慎重に検討をお願いします。

ちなみに、他学部では、2001 年度時点では全く隔年開講は行っておりません。環境科学部の既存の隔年開講科目(前回の研究科教員会議で提示したもの)は、昨年度に新規開講として認められたものです。

・隔年開講方式の適用基準・

  1. 研究科共通科目については隔年開講を認めない。
    理由:共通科目は、環境科学部の重要科目であり、また出来るだけ早い時期(1回生時)に修学をさせることが意図されている。


  2. オムニバスの講義は原則として隔年開講を認めない。但し、担当教員の半数以上が他にも科目を担当しており、当該の教員1人当たりの大学院担当時間数が1年で15講以上の場合は、この限りではない。オムニバス講義で隔年開講とした場合の配置は前期とする。


  3. 一人担当の講義の場合は、研究科共通科目を除き、隔年開講を認める。但し、配置は前期とする。理由:前期に配置するのは、後期にした場合、2回生時に受講せざるを得ない状況が必ず発生し、修士研究の妨げになる可能性があることによる。


  4. 隔年開講を開始する場合には、履修の手引きで開始の一年前に予告をする。理由:受講の機会の均等を保障するため。


  5. 本規則は必要に応じて見直しを行う。理由:一定の経験の後、教育効果の評価を行い、廃止も含め適正なあり方を検討するため。