編集後記

 かつて、工場など事業所からの排出物による水や大気の汚染を環境問題と考え、汚濁物をカットさえすれば環境問題が解決すると信じていた時代があった。そこでは人間と環境とはお互いに別々の存在だったのである。しかしながら、時代が進むにしたがって、人間の存在自体(文明といってもよい)が環境問題の元凶であることがしだいに分かってきた。だから、環境を問うということは、人間の生きざま、もっといえば、人間の内なる考え方を問うことに等しい。誤解を受けることを承知で短絡すれば、『環境が人間の外側に客観的な実在物として独立に存在するのではなく、環境は人間の内側にある』と認識することが環境問題解決のキーなのだ。換言すると、環境問題の解決とは人間がどう生きるかを決めることに外ならない。そして、それが地球の未来を決定する。・・・本誌のすべての論述がこの1点に収斂する。『人々の生きざまの中に自ら問題を発見し、解決の方法を示す能力を培うこと、そしてその解決に新しい価値を創出し、社会全体と共有するためのアートを身につけること』を当学部環境教育の究極のゴールにしている所以がここにある。

 この小冊子の目的は「この学部に在学する学生の一人一人が未来のパートナー(You are the partner of the future)である」と発信することに尽きる。(奥野)


学部の顔創り委員会

近雅博、奥野長晴、金谷健、杉元葉子、富岡昌雄